ローマ初日、午後3時頃ホテルに着く。日が暮れてしまう前にとにかくパンテオンを一目見たくタクシーで向かう。直径と高さはともに43.3mの正円を内包する。そしてドーム頂部には、眼窓(oculus)と呼ばれる丸い開口が穿たれている。厳格な幾何学によって秩序づけられた空間とこの丸い開口。この二つの要素が他に類をみない劇的空間を生み出している。
この丸い開口は採光と換気の役割を果たす。パッシブデザイン的に云うと、人びとの熱気が上昇気流となって丸窓から出ていく、それに伴い入り口から外部の空気が引き込まれ対流が起こる重力換気。広場に流れる風の影響もありそうだが、ドームの入り口付近に立っていると絶えず、外から中へ風が吹き続け体に芯まで冷えてしまった。