パッシブデザインとは
太陽の光と熱、風など自然の力を建物のしつらえによって利用する設計技術です。
パッシブデザインは、自然のエネルギーや現象を利用するため建物の周りに庭木や庇等ある程度の余裕がないとデザインできません。
しかし、都市部では、その余裕をなかなか確保できません。そこでアーキスタジオでは、呼吸するアトリウムと空気循環システムで自然の中でのパッシブデザインと同等、あるいはそれ以上の効果を生みだす「都市型パッシブデザイン」を実現しています。
パッシブデザインで行うこと
- 建物の有り方に工夫する
- 自然エネルギーを活用する(太陽光、風等)
- 自然エネルギーを調整する
- 高い質の室内環境を実現させる
- 省エネルギーを実現させる
このような建築設計の考え方と、その手法です。
ここでは代表的な手法を紹介致します。
アーキスタジオではアトリウムに太陽熱を集め、空気循環システムで最下階に送り、躯体全体へと蓄熱させています。
アーキスタジオではアトリウムに太陽熱を集め、空気循環システムで最下階に送り、躯体全体へと蓄熱させています。
自然風をうまく利用することで、エアコンや除湿機に頼らない期間を長くすることができます。
建物全体を一定の温度にすることができるので、建物のどの部屋も暖かく、涼しく快適に過ごすことができます
パッシブデザインを導入した家の解析結果(設計時の計算)
パッシブデザインとRC外断熱の組み合わせで、自然室温が夏に28.5度以下、冬では10度以上をキープしています。
※自然室温とは、冷暖房機を一切使用していない状態での室温です。
※この結果表は各部屋ごとにあります。
パッシブデザインを導入した家の測定結果(竣工後の実測)
引き渡し後の実測データ
24時間(もちろん深夜も含む)で全館の室温の温度差がわずか1.5℃です。
アトリウムは太陽光の集熱スペースで、「都市型パッシブデザイン」要の空間。アーキスタジオのオリジナルシステムです。
1Fの和室室温が高くなっているのは、アトリウムの熱が和室の床下に送り込まれ、そこからの空気の循環の影響と、住宅全体を暖めるために唯一稼働するエアコンが設置しているからです。
室外の温度はグラフの下の黄緑で、玄関はピンクのラインです。玄関は内外打ち放しで居室外という前提のため、室外とほぼ変わらない温度となっています
パッシブデザイン協議会のPassDeC認証の2星と3星を全国初で取得!
パッシブデザイン協議会の PassDec認証制度は、断熱性や日照、遮蔽などの性能を個別に評価するのではなく、それらパッシブデザインの各要素が、互いに影響し合い、熱や風が部屋から部屋へ移動していく状態を動的に解析します。私たちはこのリアルな動的解析が大変有意義であると考え、チャレンジしました。また、この認証制度で使うシミュレーターを使いこなせば、設計段階で室温の変化をリアル(動的)に解析でき、プランニングに活かせる点も大きな魅力と考えました。
定量評価ーkt-n邸(2015竣工)の☆☆☆3ツ星認証、全国初。
定量評価ーka-m邸(2004年竣工)の☆☆2つ星認証、全国初。
この成果は、長く地道にパッシブデザインに取り組み、少しづつ進化させてきた私たちとっては、勲章のようにうれしい出来事でした。
その後、パッシブデザイン協議会のPassDecで使用されていたシミュレーションソフトは、ホームズ君省ネ診断OM版に引き継がれました。
以降弊社はPssasdec認証制度には参加していませんが、この後継ソフトを駆使してパッシブデザインを行なっています。
平成11年度の省エネ基準(Q値や、μ値)平成25年度の省エネ基準(UA値や η値)の定量評価の個別評価は、右上にあります。
太陽熱の取得や遮蔽、通風等の要素を季節、時間ごとに解析し、住宅の中を移動する熱をリアルに計算します。各部屋ごとにこの計算が行われます。
定量評定☆☆星とは、自然室温の状態で、すべての居室の中で、冬場10°以下の出現率が、5%以下。夏場30°以上の出現率が、0%
定量評定☆☆☆星とは、自然室温の状態で、すべての居室の中で、冬場10°以下の出現率が、0%以下。夏場30°以上の出現率が、0%
どちらも年間冷暖房負荷は180MJ/㎡以下
kt-n計算結果(RC外断熱)
ka-m計算結果(木造充填断熱)
自然室温は一定ではありませんが、夏の室温はすごしやすい状態です。冬の朝に10度を下回る時間帯があります。この時間帯に補助暖房を必要とします。